2518号


許可期限更新拒絶で横浜地裁は処分取り消し認める

  • 横浜市の個人タクシー事業者(60)が新規許可申請3ヶ月前に道路交通法違反をしていたことが「新規許可取消条件」などに当たるとして、関東運輸局が許可期限の更新を拒絶した処分に対し、同事業者が処分の取り消しを求めていた訴訟の判決が、横浜地方裁判所であり、原告の請求どおりに処分取り消しを認めていたことがわかった。関東運輸局は控訴しなかった。

    関東運輸局控訴せず
  • 同事業者は法人タク乗務員だった2006年6月、川崎市内で右折禁止場所での右折を理由に警察官から反則行為告知書の受領などを求められたが拒否、反則金も納付しなかった。同年9月、法令順守状況を確認する書面に「申請日以前3年間に違反による処分や反則点の付加がない」などを宣誓、新規許可申請した。同年12月、過去5年間に違反などがないことを証明する運転記録証明書の交付を受けた。
    関運局は07年2月「申請書、添付書類、陳述の内容が事実と異なることが判明した場合には許可を取り消すことができる」などとした上で同事業者の申請を許可した。ところが、2年後の09年9月、許可期限更新申請の際に提出した運転記録証明書には06年の違反点数が付加されていた。
    これに対し同運輸局は10年8月「許可等に付した条件により、許可を取り消すべき事由または許可期限の更新を行わないこととする事由に該当する」として、期限更新を認めない処分を通知した。これを不服とした同事業者は同年10月、同運輸局を相手取り訴訟を起こした。
    横浜地裁は1月25日の判決で道交法の違反点数について「違反行為により必然的に伴うものではなく違反等登録審査官の判断を経て初めて発効する」とし、付加された時期は「運転記録証明書の提出後となったことは推認できる」などとした。その上で「原告に許可申請後、何らかの陳述をすべきことを期待することは困難」とした。
    同地裁は「新規許可取消条件に当たる事由があったとは認められず、原告は同事由があることを認識しながら故意にこれを陳述しなかったと認められる余地はない」と原告の請求を認めた。
    また、許可要件を「道交法違反がなかったこと」ではなく「道交法の違反により反則点を付されなかったこと」としている点を指摘し「許可が取り消されれば、事業を継続することができなくなり生計の途を失う上、事業遂行のための投資、資産が無に帰すことは明らか」とした。
    さらに「違反の事実を申告しないで新規許可を受けた申請者に対し、予測可能性を与えていなかったにもかかわらず、経済的不利益を甘受させることは相当でない」との判断も示した。


訴訟を起こした個人タク事業者の話


当たり前のことが当たり前に通った。感情的に、うれしいということはないが、裁判に協力してくれた多くの方々には本当に感謝したい。これまで裁判に踏み切れなかった人、泣き寝入りしてきた人がたくさんいた。(処分で)関運局はどの文章を取って判断したのか。管轄外のものを憶測に基づき処理していた。日本は法治国家の国。(処分は)あくまで関運局の横暴だった。一般常識に通らないことを言っていた。



関東運輸局の話


本件訴訟において国の主張が認められなかったことは極めて残念だ。判決内容をよく検討し、控訴しないこととした。(今後は)判決結果を踏まえ、影響のないように対応していく。



個人タクに詳しい関係者の話


申請後に違反してしまったとき、申請を諦めた人、取り下げた人がたくさんいた。今後、こういうケースがあった場合、今回の判決を前例として軽微なものについてはセーフになる可能性もある。審査基準の言い回しが変わることもあり得る。ただ、関運局は優秀な個人タクという根幹があるからこそ審査基準を設けていると思う。軽微な違反は救ってあげたいという気持ちもわかるが、「セーフ」「アウト」の議論の前に、個人タク制度をさかのぼって考えれば事故や違反があってはまずい。判決が出たからといって「違反しても大丈夫だ」と安易に考えないほうがよい。